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備長炭を焼く煙から採取した酸性の液体を「木酢液(もくさくえき)」と言います。この木酢液の主成分は、酢酸でそのほかに200種以上の有効成分が含まれています。
これらの主成分の中には、殺虫、殺菌効果のあるものや土の中の有用な微生物のエサとなって、微生物を増殖させる働きをするものもあります。

特徴の一つに木酢液は、植物や動物などの体内への浸透性、吸収性がすぐれていることがあげられます。これは、メタノールやプロパノールのアルコール類・ケトン類・アルデヒド類など浸透性をよくする成分が含まれているからです。

備長炭を焼くときに出る煙から木酢液は抽出されます。
煙突を伝って落ちてくる木酢液を受けてタンクに貯蔵します。
ウバメガシを窯の中で火をつけた直後は、煙は水蒸気が多く含まれているので白色をしています。この状態では良質の木酢液は抽出できません。3〜4日ほど経過すると原木は、炭化状態に入り煙は透き通った黄白色に変色します。この状態の時に木酢液を採取します。採取の方法は、排煙口に長さ数十メートルの煙突を約30度くらいになるよう斜めに固定します。するとその中を通る煙が、煙突の中で冷やされ煙の中に含まれている水蒸気が、液体となって煙突の中を排煙口に向かって流れてきます。その液体を一時タンクに貯蔵します。
紀州炭工房では、一時タンクに貯蔵された木酢液を約1年貯蔵タンクでタール分を沈殿させたあと精製して出荷しています。

簡単な作業のようですが、木酢液の採取の頃合いが難しく早くから取り始めると濃度が薄くていい木酢液が取れません。また反対に遅すぎると、タール分が多くなり良質の木酢液の抽出量が少なくなってしまいます。このことから抽出のタイミングは、炭焼き職人の腕にかかっています。

たとえば、1000倍以上に薄めた木酢液は、農薬の薬効成分を浸透しやすくして散布効果を、高める働きがあります。
木酢液には、酢酸などの有機酸が多く含まれているので、いろいろな物質を溶かし込む力が大きいのです。

また、1000倍以上の濃度に薄めてもpH6以上の酸性なので水の分子を小さくする作用が働きます。このことから、農薬の成分を作物の組織によく浸透させることができるので、農薬を効率よく効かせることができます。

木酢液から作った堆肥を使うと植物の成長を促進させる働きがあります。
木酢液そのものは、農薬でも化学肥料でも属さないのですが、用途に合わせて適量を正しく使うと農薬や化学肥料の効果を高める働きをする不思議な液体です。

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